NAKACHIKA COFFEETIME コーヒータイム

1980年代、ナカチカでは
「コーヒータイム」なる
社内報的冊子を定期的に刊行していました。
社員の家族スナップが載っていたり、
社内クラブの活動報告があったり、
社長の訓示があったり。

今となっては「昭和の会社とは
こういうものであったのだ」と、
我々に伝えてくれる貴重な史料でもあります。

時を経て令和の現在。
特別版の編集部員を招集し、
改めて「コーヒータイム」の名のもとに、
今のナカチカ社員たちの
素顔を紹介していきます。

巻頭インタビュー

ナカチカの四代目社長を務める中島隆介。
くだけた話とマジメな話で、
その人となりをお伝えします。

社長にずばり聞いてみた。

社長、特技が「将棋、株式投資、麻雀」って勝負師感が半端ないのですが。

「勝負事が好きというより、仮説を立てて、それに基づいた情報収集や検証が好きなんですよね。社長に就任してからは正直、どれも機会が減ってしまいましたが。勝負事と言えば私、競馬の“プロ予想家”になったんですよ。お伝えしていましたっけ?」

いや、それは初耳ですね! 詳しく聞かせてもらえますか?

「昨年、仲の良い友人から大手競馬サイトで“プロ予想家”を募る大会があると聞いて一緒に参加してみたんです。簡単に言うと、レースの予想が当たるとポイントが付与され、年間を通じてポイントが上位だった人に、サイトから“プロ予想家”のオファーがくるという」

すごいですね! 何位になったんですか。

「3万5000人ほどの参加者がいたのですが、20位くらいでした。さらにその中で上位者だけを集めた決定戦みたいなのがあって、これで上位の成績を収めたらその流れで、運営サイトからオファーがきて。というか、この話続けていて大丈夫ですか? 会社のイメージが悪くなるような......」

この「コーヒータイム」は社員のパーソナリティを紹介するコンテンツなので大丈夫ですよ(笑)。

「それならよかったです(笑)。もともと遊びで参加していただけだったのですが、まさかそんなところまで勝ち残るとは思っていませんでした」

馬券を買う時は社長に乗りたいですね。

「そんなに当たってないのでやめた方がいいですよ(苦笑)。競馬も含めてですが、今後、エンタテインメント業界は伸びると思うんですよね。JRAのテレビCMを見ていても競馬をエンタメに寄せていますし。いつか、競馬に関わるお仕事ができたらいいなと思っています」

その流れのまま仕事の話へいきましょう。ナカチカは四代にわたる同族経営です。ずばりファミリー企業の良い点とは何でしょうか。

「2点あります。ひとつは長いスパンで経営を考えられること。今の世の中の流れはクオーターごとに結果を出すことに一喜一憂していますが、その時間軸だとなかなか長期的な経営は難しいですよね。ファミリー企業は株主と経営者が同じなのでそういったことはなく、長期的に目指している目標に対して取り組んでいくので、長いスパンで考え行動できることは一つの強みだと思っています。もう1点は、使命感を持って仕事ができることでしょうか。長く続いた会社をこれからも続けていく、続けていかなければならないという使命感を持って会社を経営していることは強みだと思います」

使命感というのは、会社を継ぐ立場にあったから生まれたものなのでしょうか?

「必ずしも立場や境遇によるものだけではないのかなと思っています。現に社員が『使命感を持って働いている』のをこの目で見ていますから。幸せなことです」

会社を継ぐ立場でなくても使命感は生まれるということですか?

「そう思いますね。使命感が生まれる理由の言語化はまだできていないのですが......。社員の使命感で言えば、会社の持つ理念やビジョンに共感してくれているか、関わる人の役に立てているかどうかでしょうか。私で言えば、100年引き継がれてきたバトンをいい状態で次に渡したいという気持ちは源にあるかもしれません。駅伝に近い感覚かもしれないですね」

では逆にファミリー企業が懸念すべきは、どのような点でしょうか?

「ファミリー企業に限らないと思いますが、会社はトップが堕落したり、安堵したらそこで終わりだと思っています。常に時代に則した判断が求められるなと。もちろん社員にも『変化が必要』と伝えますが、実際彼らの目の前には日々、さまざまな業務があって、一生懸命やっていたらあっという間に一日が終わってしまう。“今”を頑張るのが社員のみなさん。“未来”についてあらかじめ仮説を立て、先回りしておくのが私の役割だと思って取り組んでいます」

なるほど。ところで社長は声が大きいですよね。体育会系のご出身ですか?

「はい、野球をやっていました。小学校1年生から高校野球までやりました。中学校ではクラブチームに所属していて全国大会に出るようなチームで一生懸命やっていました。実は高校入学の時、今年(2019年)の夏の甲子園に出たある強豪校にスポーツ推薦が決まっていたんですよ。でも入学できなかったんです」

えっ。どういうことですか?

「その高校は文武両道の学校でした。ですから推薦の条件のなかに『通知表に2以下がないこと』というものがありまして」

おおむね読めましたが、あえて聞きましょう(笑)。

「ある教科で2がついてしまって。そのときはまさかと思いましたが。今思うと教師と折り合いが悪くて。最後にあいつに『2』つけてやれ! 的な。自業自得ですけどね。 この話、後日談があって、私はその高校のルールを変えた男なんです。次の年からスポーツ推薦の基準が変更になり、通知表に2があっても推薦入学ができる形に変更されたそうです! 勉強が得意でない子の門戸を開いたかなと(笑)」

ある意味道をひとつ拓いた形ですね。

「小さな失敗はそれまでもたくさんありましたけど、挫折らしい挫折はあの時が初めてですかね。その後、高校でも野球を続けましたが、プロになるような人たちはレベルが違うことも思い知らされました。振り返ると、スポーツを通じて多くの挫折を経験したことは今に活きているなと思っています」

もしその強豪校に行っていたらイヤなやつになっていたかも(笑)。

「そう思いますね。中学校の時に全国大会出場を決めた時は、チームメイトに 『甲子園は見るものじゃない。行くところだよ』なんて言っていましたから。明らかにイヤなやつですよね(笑)。挫折を経験したことで、さまざまなことに気づけるようになったので、そこはとてもよかったと思っています」

社長もさまざまなことを経験されて今があるのですね。時を経て、会社の代表となりました。今後、どのような会社を目指していますか?

「先代社長、つまり父が繰り返し言っていたことで私も大切にしている考えがありまして、『物心(ぶっしん)ともに豊かな会社を作る』ということ。これは大事にしていますね。“物”とは給与増や出世。“心”とは働くことを通じて得る精神的な満足です」

なるほど、手応えはいかがですか?

「“物”のほうは、制度で目に見えて変えられそうなことはいろいろとルールを変えました。まだまだ道半ばですが、活躍しているメンバーは分かりやすく豊かになっているかなと思います。難しいのは“心”ですね。先代社長の時代は、ハードなマネジメントを通じて勝ち筋を作り、結果として社員の満足をキープしていたと思います。でも今は価値観の多様化によって勝ち筋が見えにくいんですよね」

時代によって違うということでしょうか?

「そう感じています。高度成長期と呼ばれた時代は、トップがリーダーシップを発揮してやるべきことをやれば、会社は右肩上がりで成長しました。これからの時代は、国内の経済が右肩上がりで成長していくことはまずありませんので、自分達で工夫したり知恵を絞ったりして、変幻自在な立ち回りが求められているのかなと思っています」

最後になりましたが、次の100年、ナカチカはどんな姿で進んでいくのでしょうか。

「たくさんのリーダーを会社の中から創出したいと思っています。今考えているのは、『事業部独立採算制』と『分社化構想』です。会社の中から社内独立する人が増え、チャレンジしていくリーダーが増えていくような会社にしたいです。そのためには積極的にチャレンジできる環境と仕組みを作ることが重要。これが実現できれば、当社は変化の激しい時代の中でも力強く生き残っていける会社になると確信しています。
 また創業以来使用している『商売繁盛』という言葉がカギになると考えています。基幹事業であるマーケティング・コミュニケーション部門でずっと使ってきた言葉なのですが、どの事業部でも共有できるなと。『カーブス』を運営するフィットネス事業部で言えば、健康寿命が伸びれば消費の促進につながるし、プログラミング教室の『3rd school』で言えば、ITリテラシーを持つ子供たちを育むことは、その分野での将来の活躍に寄与できる。『商売繁盛の国を作る』ということを大きなミッションとして掲げ、次の100年も社員一丸となって、進んでいきたいと思っています」

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